こんにちは!フォトワークフロー『写真のバックアップと共有方法~ローカルHDD編~』です。
前回の記事では、クラウドストレージを使って写真を保存する方法を考察しました。とはいえ、実際に作業する写真は手元に保存しておきたいもの。となるとローカルのHDD(SSD)に保存するわけですが、ここで怖いのがHDDの故障によるデータの紛失。
私の周りでも、HDDの故障でデータを失った人を何人も見てきました。今回のフォトワークフローは、データの紛失リスクを抑えてHDDを使用するにはどうしたらいいかを紹介していきます。
最後のおまけにHDDが壊れた時の対処法も紹介しているので、もし現在進行形で困っていたらぜひ読んでみてください。
HDDのデータのバックアップの重要性
HDDまたはSSDといったストレージ機器は、PCを持っている人なら馴染みがあると思います。内臓のHDDだけでは足りなくて、ポータブルHDDや外付けHDDに写真を保存している人もいるでしょう。そのデータ、きちんとバックアップ取っていますか?そもそもHDDには寿命があり、概ね4年程度で壊れると言われています。また、HDDは熱や衝撃にも弱く、ポータブルHDDを落としたら一発アウト…なんてことも。SSDの場合はもう少し長いですが、いずれにせよ寿命はあります。
HDDが壊れた場合、その中にあるデータを全て失うことになります。そのため、大切なデータはきちんとバックアップを取っておくことが必要です。バックアップというのは、別のHDDに同じデータを全てコピーしておくこと。同じHDDの2箇所に保存してもダメです。面倒くさいですがこれをサボると痛い目に会うことになります。『HDDは消耗品』です。
バックアップを取るならRAID一択
とは言っても全てのデータを2箇所に分けて保存するなんて面倒くさいですよね。面倒くさいことはサボるのが人間です。その面倒くさいバックアップを自動で取ってくれる仕組みがRAIDです。馴染みのない単語だと思いますが、『データを書き込んだら自動的に2つ以上のHDDにコピーしてくれる仕組み』です。正確な説明ではないですが実用上困りません。
RAID機能を持つストレージ機器を使うことで、普通のHDDと同じように使っているだけでバックアップを取れるようになります。
RAID対応機器を使うためには
ではRAID機能を持つストレージ機器を使うにはどうすればいいか。RAID機能を持ったストレージ機器を購入する、これだけです。残念ながら、この記事の結論は『データを守るならお金をかける必要がある』です。考え方は人それぞれですが、写真を自分の資産だと思うのであればしっかりお金をかけて良いと思います。大丈夫です、カメラよりは安い。
ちなみに、費用を抑えてRAIDを実現できるソフトウェアRAIDというものもありますが、ある程度知識が必要になるので、この記事で初めてRAIDを知った人にはオススメしません。
お金をかけたくない場合は、 前回の記事 で紹介したクラウドストレージで写真の保存するのが最も安価に済むでしょう。ただ、データを大量かつ頻繁に保存する場合は、最終的にはストレージ機器に投資した方が安く済むので、それぞれご自身のケースに合わせて検討してみてください。
ここからはお金をかけてもRAID対応機器を使う!という人向けに具体的に購入するものと使い方を紹介していきます。
バックアップもデータ共有もできる!NASのススメ
買うべきものはRAID1(ミラーリング)と記載されたストレージ機器です。RAID0とだけは間違えないでください。RAID1というのは、HDD2台にデータを保存して、片方が壊れてももう片方にデータが保持される仕組みです。無事な方のHDDが壊れる前に故障したHDDを交換することでバックアップも復活します。中でも、RAID1機能付きのNAS(Network Attached Storage)はバックアップを取ってデータを保存しつつ、複数のPCやスマホからアクセス出来るのでオススメです。ものによっては自宅外からでもデータにアクセス出来るものもあります。
私が自宅で使っているのはI-O DATAの拡張ストレージ機能(RAID1の改良版)付きNASの4TBモデルHDL2-AA4/Eです。同時に、スイッチングハブとPCの台数分のLANケーブル、雷から機器を守るサージも購入しておきましょう。固定回線に契約している人はルータに接続するためのLANケーブルも有ると良いです。
他に、HDDの台数を増やしたRAID5や、2台まで故障しても大丈夫なRAID6がありますが、そこまでやろうとすると値段が跳ね上がる上、RAID以外にも対策が必要になるので趣味の範囲では不要でしょう。
RAID対応機器の使い方
RAID対応機器やNASといっても、ちょっと設定が必要なだけのHDDです。それぞれの機器の使い方は説明書を読んでください。ただし、データを失わないために覚えておくことがあります。
それは、RAID構成のうち1台のHDDが壊れたらすぐに交換すること。1台壊れたらもう一台も寿命が近づいている可能性が高いです。予備のHDDを予め用意しておくか、交換するまではなるべくHDDを使わない(=電源を入れない)ようにしましょう。
おまけ:それでもHDDが壊れた時は
バックアップを取っていても、100%の保証はできません。RAID対応機器でもデータ紛失のリスクは残ります。HDDが壊れてしまった時には、基本的には業者に復旧を依頼することになります。私の知る限り、PCエコサービスというサービスが最も安価で実績があります。
ただし、一番安くても39,800円。 HDDより高い金額が必要です。突発の出費としては大きすぎる金額なので、HDDを自力で直す方法を紹介しておきます。難しい話になるので、PC操作に自信がない人は業者に依頼した方が安全な上、復旧に失敗する度に業者での復旧成功率も下がるのでオススメはしません。あくまで、自力で直すのは自己責任の最終手段です。
HDDの復旧方法はいろいろありますが、この記事では一番お金のかからない、Ubuntuを使った方法を紹介します。「LinuxのブータブルUSBを作成してコマンドでソフトのインストールと実行が出来る」くらいのPC知識が必要です。
復旧方法はかなり大雑把にだけ書いておきます。全部説明するとそれだけで記事数本分になってしまうので…。 よくわからないところは頑張るか、ググるか、この記事にコメントするか、SNSでmizmizoに聞いてください。ついでにフォローしてください(宣伝)。お金をかければもっと簡単な方法があるので、気になる方は他の方のブログも読んでみると良いと思います。
HDDを自力で直す:診断編
まず、そもそもHDDが壊れているのか確認します。HDDをつないでいるUSB(LAN)ケーブルを変えても直らないか、別のPCでも開けないか確認して、HDD自体に問題があることを確認しましょう。NASを使っている場合は、NASからHDDだけを取り出して、SATA-USB変換ケーブルを使ってPCに接続して作業してください。
次に、HDDがどういう故障をしているのか確認します。HDDの故障には物理障害(HDD本体が物理的に壊れている)と論理障害(HDDのデータだけが壊れている)があります。次の順で確認して、当てはまったら終了です。
- 異音や異臭がする
HDDを接続した際に明らかに異音や異臭がしたら物理障害です。 - PCから認識できるが開けない
PC上でHDDは表示されるが開けない、ファイルが見つからないなどの場合は論理障害の可能性があります。 - デバイスとして認識されている
Windowsキーを押して「disk」と入力すると出てくる、「ハードディスクパーティションの作成とフォーマット」を開きます。そこに「不明」と表示されたディスクがあれば論理障害、何も表示されなければ物理障害です。
物理障害の場合は(普通の人は)自力では直せないので業者に依頼するしかありませんが、論理障害の場合は自力復旧の可能性があります。準備編に進みましょう。
Tips:論理障害の分類
更に細かい話ですが、論理障害はさらに、インデックス(どこにどんなファイルがありますよ、という情報=目次)が破壊されている場合と、ファイルそのものが破損している場合に分けられ、インデックスが破損している場合がほとんどです。目次を修理するか、目次に頼らずファイル本体を探し出せば復旧できる、というわけです。
HDDを自力で直す:準備編
まず準備するものは2つ、HDD2つ(交換用とバックアップ用。故障したHDDと同じか、より容量の大きいもの)、USBメモリ(8GB程度)です。交換用HDDは復旧後使い続けるのでしっかりしたものを。バックアップ用HDDは容量が足りればPC内臓HDDでもOK、USBメモリは何でも良いです。
HDDとUSBメモリが用意できたら、次はUbuntuのブータブルUSBを作成します。具体的な手順はたくさんの人が書いているので参考にしてください。
例えば、Linux UbuntuのブータブルUSBドライブを作成する手順なんかがわかりやすくて良い記事です。
HDDを自力で直す:Ubuntuで開いてみる
まずは準備編で作成したUbuntuを使ってPCを起動して、故障しているHDDを開いてみましょう。Windowsやmacでは見えなくても、Ubuntuからだとあっさり開けたりします。
これで成功したら、すぐに交換用HDDに中身を全部コピーしてください。開けたなら元のHDDも直ってる!と思うかもしれませんが、もう寿命です。コピーを取ったら捨ててください。
HDDを自力で直す: インデックス修復
Ubuntuで開いても見えなかった場合は、次にインデックス修復を試します。ファイルそのものではなく、どこにどんなファイルがありますよ、という目次のような情報(=インデックス)を直してやる方法です。
まずは壊れたHDDのバックアップを取りましょう。作業中にHDDに止めをさしてしまっても、業者に頼んでバックアップから復元できる可能性が残ります。
Ubuntuでddコマンドを使って、故障したHDDの中身を全てバックアップ用HDDにコピーしておきます。具体的なやり方は
DDコマンドで物理ディスクをバックアップする
あたりがわかりやすいと思います。
Ubuntuで使える無料のインデックス修復ソフトはいくつかあります。fsck、CheckDisk、などがありますが今回はTestDiskを使ってみましょう。使い方は
TestDiskの使い方(パーティション修復)
を読んで試してみてください。
インデックス修復も成功したらデータを交換用HDDにコピーして、そちらを使ってください。
HDDを自力で直す:データ救出
インデックス修復もうまくいかなかったらファイルそのものを救い出して、データだけでも回収しておきましょう。この方法ではファイル名やフォルダ分けなどの情報は失われて、「いつのかわからないけど画像ファイル」みたいなものしか復旧できませんが、全ロストよりはマシという最終手段です。
使うものはPhotoRecというソフトです。UbuntuでTestDiskを試していれば一緒にインストールされているはずです。コマンドラインからsudo photorecで起動してポチポチすれば写真ファイルを自動で検出して復元してくれます。
HDDで写真を保存するまとめ
おまけも読んだ方は、とにかく大変そうだ、というのはわかっていただけたのではないでしょうか。
復旧は本当に大変なので、日頃からしっかりバックアップを取って、できればRAID対応機器を使って、快適にフォトライフを楽しみましょう!以上、ローカルHDDで写真を安全に保存する方法のまとめでした!
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