「撮影地紹介」と「ハウツー投稿」、やめませんか?

皆さん、Instagramは使っていますか?

せっかくSNSに写真を投稿するなら、いいね!はたくさん欲しいし、フォロワーも増えてほしいですよね。誰しも承認欲求はありますから、それは当然の気持ちでしょう。

ただここ数カ月SNS上で、特にInstagramであまりにも正直というか、数字欲しさを全面に出した投稿が目に余るようになりました。有名になる努力は否定しないけど、貴方のその行動は誰かに迷惑をかけていませんか?ということをよく考えてほしいのです。

はじめに言っておきますね、今私は結構な怒りと嫌悪感をもってこの文章を書きなぐっています。
この記事はなんの根拠もなく、個人的に気に食わないだけの理由で他の人の活動をボロクソに貶す内容です。
それでも、数字欲しさの行動が後々自分の、ひいては写真コミュニティ全体の首を絞めるのではないかという危機感を持ってほしいと思って書いています。

どうか、全部の語尾に「~ではないかと極々個人的には思います」がついていると思って読んで、貴方なりに考えてもらえたら嬉しいです。

撮影地公開とハウツー投稿

私がどうしても文句を言いたいのは2つ。撮影地紹介投稿と、ハウツー投稿
どちらもここ1年~半年くらいの間に流行り出して、多くの人が投稿するようになりました。

これらの投稿が流行り出した理由はInstagramの発見アルゴリズムです。投稿を後から見返せるように「保存」された数が多いほどアプリ内のおすすめ(発見ページ)で紹介されやすくなり、結果的にいいね!もフォロワー数も増えると話題になったのです。
それに対応して、フォロワー数を伸ばしたいインスタグラマー達が保存されやすいお役立ち情報を積極的に発信するようになったのです。

フォトグラファー達にとってのお役立ち情報と言えば「撮影地」「ハウツー」
「バエる」写真が撮れるスポットの情報や、写真の撮影や編集に関するハウツー・テクニック解説は後から見返す可能性が非常に高く、「保存数稼ぎ」にはもってこいの題材です。

特定の誰かを吊るし上げたいわけではないので引用はしませんが、これらの情報を画像上に書き込んでわかりやすくまとめた所謂「文字入れ投稿」が大量に発生しました。
早期に目を付けた人は流石ですね。

断っておきますが、「保存数稼ぎ」自体は別に悪いことではありません(個人的には品が無いな、とは思いますが)。その情報を保存したくなるほど欲しがっている人がいて、その人達に情報を届けるのはSNSにおける情報発信の最も適切な形でしょう。
問題はその内容。「価値ある=保存数の増える」情報を発信しようとするあまり、公開されると現実世界で問題を引き起こすような情報まで扱っていませんか?というのが今回の趣旨です。

撮影地公開は基本的に悪

綺麗な写真が撮れるスポットの情報は巷に溢れています。ネットで見つけた絶景スポットに行って自分でも綺麗な写真が撮れる。素晴らしいことです。

ですがあえて言いましょう。撮影地公開は悪です。

意見の割れるテーマではありますが、私は明確に反対の立場です。

撮影地公開が引き起こす問題

撮影地を公開することでどんな悪いことが起きるのか。この問題を語る上で読んでもらいたいnoteがあります。大木賢さんという方のnoteです。

本来有名でなかった撮影地の情報が拡散されて有名になれば、その地域を訪れる人は必然的に増えます。
それが観光地なら活性化につながるメリットもあるでしょう。ですがそれがただの住宅地だったら?地元の方の憩いの場だったら?

駐車場・ホテル・飲食店・幹線道路・ごみ処理・・・外部からやってくる人を受け入れるには様々なインフラが必要になります。その用意の無い場所に人が押しかけた時、被害を被るのは地元の方々です。

フォトグラファーのマナーと撮影禁止問題

少し話が逸れますが、フォトグラファーのマナーもよく問題になります。
有名スポットにはフォトグラファーが溢れかえり、その場所・施設を本来の目的で利用したい方々に迷惑をかけた結果、撮影が禁止されてしまう。
ここまでもはやルーティーンです。

例えば河口浅間神社の遥拝所。

他にも葛西臨海公園のクリスタルビュー、横浜大さん橋など、フォトグラファーのマナーが原因で(と噂されて)撮影禁止になってしまった場所は枚挙に暇がありません

撮影地が有名になれば、そこを訪れるフォトグラファーが増え、マナーの悪い人が入り込む可能性が高まってしまいます。

撮影地情報を独占することの是非

では、とっておきの撮影地を隠すことは良いのか。
そこを知っている自分達だけ撮影するのは不公平ではないか

結論からいきましょう。良いのです

現実問題として、人が訪れることで地元の方が被る被害は程度問題です。
例えば駐車場のキャパに収まる範囲。或いは歩道の交通を妨げない範囲。訪れる人数と行動がその地域のインフラ(+諸々の条件)の余剰の中で収まっていれば問題は顕在化しません。

写真をSNSで公開する以上完璧に隠しきることは難しいですが、過度に地名やアクセス情報を公開せず、ある程度の経験と執念を持った人しかたどり着けないのであれば、”丸く収まっている”状態を保つことができるでしょう。

撮影地情報の独占は、撮影地を知りたい他のフォトグラファーにとっては嫌なものかもしれません。
それでも、私たちはコミュニティ内の活性化よりもまず、写真コミュニティ外へ迷惑をかけないことを第一に考えるべきです。

お願い:せめて観光地限定で

ですから、撮影地を公開するならせめて観光地だけにしてほしいのです。
来訪者が増えることでメリットのある地域・施設なら、紹介された側も利益を享受でき、フォトグラファーと撮影地の間で良いサイクルが生まれるかもしれません。

ここで忘れてほしくないのは、「観光地は観光する場所である」こと。
撮影だけされたって観光地は何も嬉しくないのです。撮影に訪れたなら現地の文化・自然などの魅力を堪能して、飲食店なりお土産ショップなりでしっかりお金を使ってきてください。
それが撮影させてもらう者としての最低限の礼儀だと思います。

敬意の無いハウツー投稿

もう一つ私が気になっているハウツー投稿
これは最近急に流行り出したせいか、撮影地公開に比べれば問題視されていないように思います。

実際、初心者が撮影や編集のハウツーを簡単に知ることができれば、写真の楽しみ方を広げ、ステップアップしやすくなることで写真コミュニティの活性化につながるでしょう。
とても喜ばしいことですし、私がこうやってブログを書いているのも、コミュニティの活性化に少しでも貢献したいからです。

それでも私は、SNSでハウツー投稿はやるべきではない、せめて内容をよく考えてほしいと思います。

その知識、自分のものですか?

例えば貴方がカメラの基本操作(SSとか、絞りとか、ISOとか)について投稿で解説したとしましょう。
その投稿を見た人は少し上手に写真が撮れるようになり、貴方はいいね!とフォロワーが増える。win-winですね。

ですが思い返してみてください。貴方がハウツー投稿に書いたその知識、自分で考えたものですか?
もしかして本や写真教室で、お金を払って買ったものではないですか?
お金を払っていないとしても、誰かから教わったことではないですか?

誰かから教わった情報を、貴方が承認欲求を満たすためだけに横流しするのはあまりにも恩知らずではないでしょうか。
知的財産以外の知識を保護する法律があるわけではないですし、別に悪い行為ではないのです。
ただ、どうしても他人の褌で相撲をとるような見苦しさを感じます。

知識の共有とコミュニティ発展

上の話と矛盾するようですが、知識の共有はコミュニティの発展に非常に効果的です
ネットで簡単に上手になる方法が見つかり、先輩達がいつでも相談に乗ってくれるなら、写真コミュニティは初心者が入りこみやすくなり、カメラ人口は増え、撮影技術はより高速に発達するでしょう。

これを実際にやっているコミュニティがあります。IT業界です。

IT業界にはオープンソース標準化といって、便利な知識は皆で共有し、皆でベストな方法を見つけることで集合知として発展していこうという考え方があります。
これは素晴らしい考え方で、実際にオープンソースが登場してからITの発展は爆発的に加速しました。

この考え方に倣うなら、ハウツー投稿は写真コミュニティの発展に猛烈に貢献できる素晴らしい試みということになります。

が。そうではありません。

オープンソースのとても大切な特徴は、全て無償である点。誰かが考え・作った有料の情報まで勝手に共有するものではないのです。
ましてや自分の利益のために、しかも何の責任も発生しないSNS上で横流しするのは最も醜悪な使い道に思えます。

お願い:知識共有はオリジナルの内容で

残念ながら写真コミュニティでは、オープンソース的な考え方は浸透していません。
そんな中で価値ある(あった)情報を勝手に共有することは誰かの生業の邪魔になってしまいます。

ですが、共有しても誰も傷つかず、コミュニティの発展に貢献できる素晴らしい情報があります
そう、貴方のオリジナルの技術です。

仮にそれが車輪の再発明でも構いません。
貴方が自分で考え、練り上げた技術・知識の共有こそ、コミュニティへの貢献としてあるべき姿ではないでしょうか。

終わりに

SNS投稿の効果を上げるために試行錯誤するのは素晴らしいことです。
SNS上の自分の価値が高まれば、現実世界で新たな価値を生み出していくこともあるでしょう。

ですが、SNS上の数字は所詮数字なのです。その数字を稼ぐために、自分にカメラを教えてくれた人、お世話になった撮影地の方々、そしてこれまで努力してきた自分を蔑ろにするような行動をしてしまうのは本末転倒です。

写真はネット上ではなく、現実の中で撮る活動です。現実に重きを置いた行動が尊ばれるべきだと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました