
個展「Relive」振り返り記事の続きです。まだの方はぜひそちらを先にお読みください。
さて、振り返り記事でも書いた通り、個展「Relive」には裏テーマがありました。今回はその裏テーマについてと、裏テーマを元に作り上げた写真集「自己鏡像」について、そして僕の写真家としてのアイデンティティのお話です。
実は今まで、写真家と名乗ったことはなかったんですよね。写真制作を本業としている方々と比べて、せいぜい趣味に毛が生えた程度の僕がその肩書を使うのに引け目がありました。
ただ今回、「アイデンティティ」の話をするなら必要だろうと覚悟を決めました。
ちょっとまだ恥ずかしいですが、今後は「写真家」を名乗りながらやっていこうと思います。
写真集「自己鏡像」
ネタバレ注意
裏テーマについて…の前に商売の話で恐縮ですが、会場で販売していた写真集「自己鏡像」をこの度、オンラインでも販売開始します!
ここからの話は写真集のネタバレになっています。写真集を読まなくてもこの記事は伝わるし、記事だけでも読んでほしいですが、できれば先に写真集をご覧いただけると写真集の「1周目」をより楽しめると思います。
会場で写真集をご購入くださった皆様は、大変お待たせ致しました。2年越しの答え合わせです。ぜひそのままお進みください。
販売について
写真集はみぞみぞのWEBショップで販売中です!価格は4,000円。送料は国内一律430円(レターパックライト)、2冊までまとめて発送可能です。海外発送も対応予定です。
B5サイズ無線綴じ、本文58Pです。用紙・印刷もこだわって制作しました。ぜひ紙の写真集の良さを味わっていただければと思います。
ポスターカードセットも販売していますので、そちらも合わせてどうぞ。
個展「Relive」裏テーマ
個展「Relive」は感情の追体験というテーマに対して、鑑賞位置をツールとしてアプローチした展示でした。それはそれで1つの展示として成立していましたが、表のテーマだけでは個展に重要な「写真家としてのアイデンティティ」が欠けていました。
でも実はちゃんと裏テーマがありました。個展「Relive」の表テーマがこれまでの僕の総決算だとすると、裏テーマはこれからの僕の写真家としての活動宣言。今日はそのお話をしていこうと思います。
山と人
僕が写真を撮り始めたのは2018年。最初は風景を撮っていたのが、2019年頃から写真コミュニティと繋がりだして、その縁からポートレートを撮り始めました。2021年にはポートレート撮影で千畳敷に行って山の景色に魅了されました。だんだん山の写真が増えていき、今となっては撮影の大部分が山です。

そんな感じでいろいろ撮ってきたわけですが、自分としては活動のスタンスを変えたつもりはなかったんですよね。山を撮っていても人を撮っていても、シャッターを切る感覚は同じでした。もちろんパッと見別ジャンルの写真なんですが、そのうち1つの作風にまとまる予感はありました。

「感情」という被写体
とはいえ予感がしていただけで、個展準備を始めた段階ではまだ山と人の写真はバラバラでした。個展として成立させるために、どちらかに絞ることも考えました。その方がわかりやすい展示になったかもしれません。
ただそれだと僕の写真歴の一部をまとめただけで、なんというか「逃げ」だと思ったんですよね。僕という写真家を決算することから逃げて、都合の良いところだけ切り出したみたいな。「山も人も同じ感覚で撮っている」自分の活動をまとめ上げてこそ個展にふさわしいという意地がありました。
そんな中で見つけた共通点が「感情」でした。被写体が何であれ、その場で感じた気持ちを主題として写真に乗せていたから感覚が同じだったんだと気づきました。
だから個展「Relive」で展示する被写体は「感情」、なぜ感情を被写体にしているかを写真集のテーマに決めました。
「自己鏡像」
「自己鏡像」は個展での気づきから一歩進んで、「なぜ山でも人でも、被写体に関係なく感情を主題にして撮ってきたのか」という自己分析を行っていく写真集です。
全4章構成で、各章の先頭にキャプションが付いています。とはいえその端的なキャプションだけでは何を言ってるかわからないので、1つずつ解説をしていこうと思います。
ぜひお手元の写真集をめくりながらお読みください。
第1章

燦燦と降り注ぐ木漏れ日、紅葉に染まる稜線、光に包まれた誰かの横顔。
世界はこんなにも美しい。
美しいものを、美しいと思ったままにシャッターを切る。
僕が写真を撮り始めた頃から続いている、素直な写真との向き合い方です。
第一章はシンプルでポジティブな僕の傑作選です。まずは僕の自信作をお楽しみください。
第2章

海辺の町に行った時の写真です。写っているのは友人の姿。
「旅に出る。一人で。」
そう、一人で。
もちろんこの日僕は彼女と一緒に歩き、彼女を見て写真を撮っていました。
それでも写真を見返すと、どこか「1人で撮ってたな」という感覚がありました。
僕がしていたのは美しい世界の記録ではなく、自分の中にある何かを、1人で拾い上げる作業なんじゃないか。そんなことに気が付きました。
第3章

世界と向き合っていると思っていた。
目の前にある景色と向き合い、目の前にいる人と関わり合い、僕は世界の中に存在している。そう思っていたし、実際そうなんだと思う。
でも僕の心は勝手に世界から目を逸らす。世界は僕を拒絶していると思い込む。
今日も僕は、世界の一員で居たいと夢を見続けている。
気付いた方もいらっしゃるでしょうか。第三章は展示作品「劣等感」「憧憬」と同じです。展示会場では瞬間的に追体験してもらった感情を、より深く、より広く、写真集という形で表現し直しました。
孤独に苛まれながら、ふと見つけた希望のようなものに手を伸ばし、また一人の世界に戻る。そんなふうにフラフラと彷徨っているのが、やっぱり僕の根源なんだと思います。
第4章

僕には、美しい世界をそのまま記録することはできない。
世界と直接向き合うことができずに、自分の鏡像だけを写真に残している。
でもそれでいいんじゃないか。僕が残した「僕の世界」を誰かに伝えること、世界に還元すること。それが僕ができる、「世界と向き合う」ってことなんじゃないか。
なんだかようやく、自分のことを素直に受け入れられた気がする。
第四章は僕の自己承認であり、これからの行動宣言です。門出を祝うセレモニーでもあります。
立ち読み
「自己鏡像」を持っていないけどここまで読んでくださった方。ぜひ少しだけ、写真集を見ていってください。
僕の6年間の中から、SNS未公開の写真を含めて最高の作品達を選び抜きました。その自信作達を、全四章の自己分析に再構成しました。
再度の宣伝で恐縮ですが、この記事を読んで僕に興味を持ってくださった方は、ぜひ写真集「自己鏡像」をお手に取っていただければ嬉しいです。販売は私のWEBショップにて。
写真家としてのアイデンティティ
写真集に込めた写真家としてのアイデンティティ。それがまさに「自己鏡像」です。
人でも、自然でも、人工物でも。僕はそのものを真っすぐに写し取ることができない。それでも、その時自分が感じた気持ちを写真に落とし込むことはできる。
「ここにはこんな感情があった」という記録を残して発信していくことが、少し遠回りだけど僕が世界と向き合う方法だと思う。そんな気持ちを持って、これからの写真を撮っていこうと思います。
だから、別にやることは今までと変わりません。今までやってきたことにきちんと意味を与えただけ。山ばかり撮ってるけど、山岳写真家ではありません。被写体が何だろうが、僕が撮っているのは僕自身の鏡像でしかないから。とか言って、今は単純にハマってるからしばらく山ばかりでしょうけど笑
そんな僕の写真が、誰かの心も動かせたら、それは世界の中での僕の存在証明になる気がする。そんな僕と、僕の写真を今後ともよろしくお願いいたします。
願わくば、この記事で僕の写真に今までより魅力を感じてくれる方が1人でも居れば嬉しいなと思います。
それではまた、次の写真で。








コメント